学生時代の話。

　日曜に家に居る場合、気を付けなければならない。

　なぜなら、ヤツら（モノミ系）が来るからだ。

　僕は彼らのことを特に何とも思わないが、あまり興味のない話を長々と聞かされるのは 勘弁したい。

　だが、その日のちょっと違ったのだ。

　いつものように、チャイムに条件反射し、ドアを開けた瞬間に後悔する。

　現れたのは20代後半のいたって普通の女性と、後ろには何故か黒人男性（身長は高くない）。

女性：　「世界中には教育を受けたくても、受けられない子供がいることをご存知ですか？」

ツタン：　「はぁ」

女性：　「そんな子供たちに教育を受けさせてあげたいとは思いませんか？」

ツタン：　「どちらかと言えば、思いますけど」

女性：　「ありがとうございます」（大きめの声で）

ツタン胸中：　「ちょっと待てよ！協力するとは一言も言ってないじゃん！」

女性：　「わたしたちは、モザンビークの子供たちに学校を 建ててあげたいと考えてます」

ツタン胸中：　「だから、モザンビークってどこだよ！」

女性：　「それで、寄付をしてもらうのもナンですので・・・」

ツタン胸中：　「いや、するつもりないし！」

女性：　「これらを買っていただけるとありがたいのですが」

　見せられたのはアルバムのようなものに入れられたハンカチや靴下。\3,000と\1,000の コースがあるらしい。

ツタン：　「ちょっとお金ないんですよね」

女性：　「どうかお願いします」

ツタン：　「ほんっっとうに金ないんですよぉ」

女性＋黒人：　「お願いします！お願いします！お願いします！」

　しかも「お願いします」に合わせて、二人とも深々と礼をする始末。
m(_ _)mm(_ _)m

　黒人に対して何の合図もなく、二人同時に「お願いします」と礼をしたことにより、 事前の打ち合わせというか仕込みも万全なのは明白。このための黒人同伴か。

　「どうせ、次の手も用意しているんだろう？」ということで、あきらめることに。 もう一度やられると、無実の罪悪感がさらに深まりそう。

　先程は何も買うつもりなかったので、上の空で聞いていなかったがお金を払うとなったら 別。一番安くて、できるだけ使えるものを選択。結果、オヤジっぽい黄緑の靴下一足を購入。 \1,000也。何故その色を選んだのかは今では覚えていない。それしかなかったのかも。

　そしてお金を払いながら、一見和んだ（なごんだ）風な空気の中で

女性：　「今日はお仕事はお休みですか？」

ツタン：　「いや、まだ学生です」

女性：　「あ、そうなんですか」

　かなり寒い空気が流れましたね。何で僕まで気まずくならなきゃならないのでしょう？

ツタン胸中：　「だから金ないって言ったろ！」

ツタン胸中：　「そっちは別で働いているんだろぉ？まず自分が買えよ！」

　結局、あの黒人が「お願いします」以外の日本語をしゃべれるかどうかは分からず終い。 プレッシャーかけるつもりならムルアカ氏のようなのを連れてくるはずなので、その つもりはなかったのでしょう。その前に、彼はモザンビーク人なのだろうか？

　靴下はというと、その当時は３足\1,000とか５足\1,000のもの（マルカワで購入）を 好んで履いていたのですが、品質は一線を画していましたね。\1,000の価値はあったと 思います。色は別ですが。

　ところで、モザンビークに学校は建ったのでしょうか？紆余曲折（っていうのか？） はあったものの、僕の靴下購入分が学校の一部になっているなら嬉しいです。

　短くまとまるつもりが、結局長くなってしまいましたね。ちなみに モザンビークは 南アフリカの国らしいです。

　先日、この話をしたら「物買わされるのはそれ、絶対詐欺だよ！」と言われました。 そうなのかな。

　あの二人が恋人であるなら、騙されたとしてもいいかなと何となく思います。