中学校に入る前だったと思う。小学校の真ん中くらいですかね。

　ケンタッキー元町店（だったと思う）でレジの前にいたときに、50〜60歳くらいと 思われる女性がズカズカと店内に入ってきて、物凄い剣幕でレジに いる若い女性店員に詰め寄る。

　放たれた言葉は

　

　

　

「イモくれ！」

　

　

　

　僕は聞き間違いだと確信した。

　女性店員は

　「フライドポテトでございますね？」

　と冷静を装い対応する。

　しかしその女性はなぜかかなり怒っているようで

「イモくれ！」

　と繰り返す。

　店員は

　「あいにく、当店ではフライドポテトしか取り扱っておりません」

　と無難？な対応。

　しかし女性は

「イモだよ、イモ！イモよこせっつってんだろ！」

　と、がなりたてる。

　幼い僕はその時点で心臓バクバク。大人の女性が汚い言葉で意味不明な要求を していることに、かなりの衝撃を受けた。何が起こっているのかよく分からなかった。

　

　店員もしぶしぶ、そして少しの恥じらいを含んで

　「イモひとつでよろしいですね？」

　と大人な？対応。

　僕は

　「え？結局、イモなの？それでいいの？」

　「ってゆうか、『ひとつ』とかそういう単位なの？」

　と心の中で突っ込みながらも、正義が捻じ曲げられる瞬間を目の当たりにし、 少し寂しくなった。

　

　何が出てくるのか少し楽しみだったが、居たたまれない気持ちと その女性に危険な空気を感じたのでその場を去ることにした。

　

　かなり意味不明な出来事だった。そしてとにかく衝撃的だった。